優しい「歯科助手」に癒された・・・

私の家系は、みんな歯が丈夫なDNAを受けついでいるらしく、虫歯や歯槽膿漏患者はいません。父を筆頭に、家族全員、口の中のトラブルは一切、ないのです。

ところが、不名誉な記録破りをしてしまったのが、高校生の私です。生えてきた親知らずが、虫歯にかかってしまい、ものすごく痛むのです。虫歯って、放置すると悪化するばかりで、決して治ることがないんですよね。とうとう、人生初の歯医者さんにかかることになりました。

診断の結果、虫歯の程度が重くて、親知らずでもあるし、治療せず一気に抜歯ということに…。怖くて怖くて、抜歯の前日には、悪夢にうなされたほどでした。抜歯当日。体調を聞かれ、麻酔注射をされ…。ところが、意外だったのは、当の抜歯そのものが、何の問題もなく終わったことです。

はじめは「そんなに緊張しないで、ゆっくり深呼吸してくださいね」と医師に苦笑いされるほど、怯えてガチガチになっていました。それなのに、結果としてスムーズに終わった理由は、医師のアシスタントの女性が、事あるごとに、思いやりに満ちた声かけをしてくれ、私をリラックスさせてくれたおかげが大きかったと思います。

女性は、医師とさまざまな専門用語を交わしながら、医師に治療器具の受け渡しを行うだけでなく、口内を照らすスポットライトの調整や、治療の際に溢れ出す唾液を吸引するバキューム器具を口内に入れたりと、片時も手が空くことはありません。

それでも、つねに気遣いの言葉をかけてくれ、私をリラックスさせるように心がけて
くれたことで、どんなに恐怖心が安らいだことか。彼女は、治療を行う医師/治療を施される患者、そのどちらにも神経を配り、治療がスムーズに運ぶように、集中して準備を講じているようにみえました。

抜歯後、治療代の支払いを行うときも、会計窓口にいたのも彼女だったのには少なからずビックリしましたが、彼女の仕事が「歯科助手」と知ったのは、だいぶ後になってからでした。